仏像の基礎知識
如来の種類
「如来」の種類についてご紹介します。
| しゃかにょらい 釈迦如来 |
仏像は、仏教の開祖として信仰されたお釈迦さまを目に見える形で崇めるために造られたのがはじまりです。ですから、悟りを開いた後のお釈迦さまのお姿を現したこの仏像は、特に多く造られています。 *銅造釈迦如来坐像(蟹満寺) *木造釈迦如来立像(清涼寺) |
|---|---|
| あみだにょらい 阿弥陀如来 |
極楽浄土の教主とされ、極楽往生を約束するとされています。 *木造阿弥陀如来坐像(法界寺) *木造阿弥陀如来坐像(広隆寺) *木造阿弥陀如来坐像(浄瑠璃寺) *木造阿弥陀如来坐像(平等院) *木造阿弥陀如来立像(禅林寺) |
| やくしにょらい 薬師如来 |
病気平癒のお力があるとされています。正式には「薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい」といい、「如来」のなかで唯一、持物(じぶつ)として薬瓶を持っています。 *木造薬師如来立像(神護寺) *木造薬師如来坐像(仁和寺) |
| びるしゃなにょらい 毘盧舎那如来 |
太陽が光をあまねく照らすように、お釈迦さまの伝える真理を広める仏さまです。略して「毘盧舎那仏(びるしゃなぶつ)」とも呼ばれます。「毘盧舎那如来」はサンスクリット語の音訳なので、その意味を漢訳した「光明遍照(こうみょうへんじょう)」ともいわれます。 |
| だいにちにょらい 大日如来 |
特に密教の教えのなかで「毘盧舎那如来」をさらに発展させ、仏法の宇宙そのものとされています。「如来」のなかで唯一、宝冠を被り、瓔珞(ようらく=ネックレス)、臂釧・腕釧(ひせん・わんせん=ブレスレット)という装身具をしています。 |
| その他の如来 | あまり作例はありませんが、他にも五智如来(ごちにょらい)、阿閃如来(あしゅくにょらい)、不空成就如来(ふくうじょうじゅにょらい)、宝生如来(ほうじょうにょらい)、如来の頭部の一部を仏化した仏頂尊(ぶっちょうそん)、同じく眼を仏化した仏眼ぶ仏母尊(ぶつげんぶつもそん)などもあります。 |
菩薩とは?菩薩の特徴
「菩薩(ぼさつ)」とは、サンスクリット語の「悟りを求めて修行をしているもの」という意味を漢訳したものです。つまり、「仏像」の「菩薩」像は、出家前のお釈迦さまのお姿をあらわしているということです。悟りをひらく前のお姿は、悩み苦しむひとびとと共に歩んでくださる象徴として、多くの信仰を集めてきました。
お釈迦さまは、本名をゴータマ・シッタールタといい、いまから、ざっと2500年前のインドとネパールの国境あたりで誕生しました。釈迦国の王子さまとして何不自由ない生活を送っていましたが、後継者としての王子を儲けたこともあり、29歳のときに思い立って出家しました。多くの苦行の末、35歳のときに悟りを開き、80歳で亡くなるまで、たくさんの教えを弟子に伝えました。
菩薩像を見分ける特徴は、大きく分けて4つあります。
- 女性のようにもみえる優しい綺麗なお顔(憤怒相の馬頭観音を除く)
- 上半身は裸で布を掛け、下半身は裳(巻スカートのようなもの)を着用
- 髷を結い上げ、宝冠や頭飾で装飾した髪型(地蔵菩薩を除く)
- 瓔珞(ようらく)、臂釧(ひせん)・腕釧(わんせん)というネックレスやブレスレットなどの装身具を着けている(地蔵菩薩を除く)
他にも、多面多手の像が多いという特徴があります。これは、大勢のひとびとを見守るためには、多くのお顔が、またたくさんのひとびとを救うために多くの手が差しのべられるように・・・・ということからです。
菩薩の種類~観音菩薩について
ここでは、菩薩の中でも「観音菩薩」の種類についてご紹介します。
観音菩薩(かんのんぼさつ)は、大きな慈悲の心で多くのひとびとを救ってくださる仏さまです。正式には「観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)」といいます。ひとびとの救いを求める声を余すことなく聞き入れてくださるという意味です。「観音菩薩」にはいくつか変化のお姿があります。
| しょうかんのん 聖観音 |
観音菩薩の基本となる菩薩です。頭上に阿弥陀如来の化仏(けぶつ)という小さな仏さまを載せ、蓮華のつぼみや水瓶を持っていることが多いです。 |
|---|---|
| じゅういちめんかんのん 十一面観音 |
頭上に十一面のさまざまなお顔の化仏(けぶつ)を載せて、水瓶を持っています。ときには四本や八本の腕を持つ像も造られます。真後ろのお顔は「大笑面(だいしょうめん)」といって、仏さまが大笑いしているお顔です。十一面観音像の後ろ側を観る機会がありましたら、確かめてみてください。 *木心乾漆十一面観音立像(観音寺) *木造十一面観音立像(六波羅蜜寺) |
| せんじゅかんのん 千手観音 |
正式には、「千手千眼観自在菩薩(せんじゅせんがんかんじざいぼさつ)」といいます。「大悲観音(だいひかんのん)」ともいわれます。千の手ひとつひとつに眼があり、ひとびとの苦悩をみると、すぐに救いの手を差しのべてくださいます。本当に千本の手がある像は稀で、たいていは、合掌する二本に四十本の小さな手が造られます。頭部は十一面で、多くのひとびとの悲しみをご覧になっています。 *木造千手観音坐像(三十三間堂) *木造千手観音立像(法性寺) *木造千手観音立像(広隆寺) |
| にょいりんかんのん 如意輪観音 |
物質的、精神的な願望を成就してくださるという観音さまです。一面六臂(いちめんろっぴ)像が普通です。右の第一手を頬にあて、ひとびとをどのように救おうか...と思案していらっしゃるポーズをとります。 *木造菩薩半跏像(願徳寺) |
| ふくうけんさくかんのん 不空羂索観音 |
ひとびとをもれなく救うために、羂索という投網を持っていらっしゃいます。 *木造不空羂索観音坐像(広隆寺) |
| ばとうかんのん 馬頭観音 |
農耕や運送、果ては戦闘に欠かせない馬を守護する観音さまとして信仰されています。珍しく憤怒(ふんぬ)のお姿をしていますが、強力な煩悩を追い払うためには、時には慈悲だけでは叶わないと考えられているからです。 |
菩薩の種類~その他の菩薩
ここでは、観音菩薩以外の「菩薩」の種類についてご紹介します。
| みろくぼさつ 弥勒菩薩 |
サンスクリット語で「慈悲」をあらわす仏さまです。お釈迦さまの後継者で、お釈迦さまが亡くなってから56億7千万年後に如来となって、ひとびとを救うといわれています。成仏(悟りをひらいて仏さまになること)を約束された菩薩として、多くの信仰を集めてきました。 *木造弥勒菩薩半跏像(宝冠弥勒・広隆寺) *木造弥勒菩薩半跏像(泣き弥勒・広隆寺) |
|---|---|
| こくうぞうぼさつ 虚空蔵菩薩 |
果てしなく広がる大空のような福徳と智慧を兼ね備えた仏さまです。また、記憶力アップにもご利益があるそうです。 *木造五大虚空蔵菩薩坐像(神護寺) |
| じぞうぼさつ 地蔵菩薩 |
華やかな菩薩像のなかで唯一、僧形で造られます。お釈迦さまが亡くなってから弥勒菩薩がおいでになるまでの時代に、ひとびとを救うためにおいでになる仏さまとされています。日本では、子供の守り仏としても多くの信仰を集めています。 *木造地蔵菩薩立像(壬生寺) |
| もんじゅぼさつ 文殊菩薩 |
「3人寄れば文殊の智慧」といわれるように、智慧の仏さまとして信仰されています。 |
| ふげんぼさつ 普賢菩薩 |
仏教では、特に女性は不浄のものとされ、仏になれないという教えがありますが、この仏さまは、女人往生を約束してくださる優しい仏さまです。 |
| その他の菩薩 | 他にも、昼も夜もあまねく照らしてくださる日光菩薩(にっこうぼさつ)・月光菩薩(がっこうぼさつ)、鎮護国家にご利益のある五大力菩薩(ごだいりきぼさつ)、直感的な智慧を得ることができる般若菩薩(はんにゃぼさつ)など、多くの菩薩さまがいらっしゃいます。 |
明王・天とは?~その他の仏像
仏法を守るために、「如来」・「菩薩」以外にも多くの仏さまがいらっしゃいます。大きくわけて「明王(みょうおう)」と「天(てん)」です。
「明王」は、「如来」の化身で、「如来」の意思を受けて、すべての魔を屈服させる力があります。そのため、明王の多くは力強い憤怒の姿をしています。
*明王の種類
「天」は、仏法を守護する神々です。仏教が興る以前からあったヒンズー教やバラモン教の神々が仏法に屈服し、守護する側にたったとされています。
*天の種類
明王の種類
不動明王や愛染明王など、「明王」の種類についてご紹介します。
*明王・天とは?~その他の仏像
| ふどうみょうおう 不動明王 |
軍神として多くの信仰を集めてきました。火焔を背負い、憤怒のお顔で右手に剣、左手に羂索という投網を持っています。五大明王の中心です。五大明王は、ほかに降三世明王(ごうざんぜみょうおう)・軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)・大威徳明王(だいいとくみょうおう)・金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)または烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)です。 |
|---|---|
| あいぜんみょうおう 愛染明王 |
人間の愛欲すべてをそのまま悟りを求める心へと昇華する力を持つとされます。軍神としても信仰されました。先年、NHK大河ドラマでも取り上げられた直江兼続が、「愛」の字を兜の前立にあしらっていたとい逸話もあります。 |
| たいげんすいみょうおう 大元帥明王 |
国家守護の仏さまです。 |
| くじゃくみょうおう 孔雀明王 |
毒蛇を食すことのできる孔雀を神格化したものです。すべての恐怖や災厄をなくし、安楽を得ることができるとされています。 |
天の種類
ここでは梵天をはじめとする、天の種類についてご紹介します。
*明王・天とは?~その他の仏像
| ぼんてん 梵天 |
ヒンズー教の宇宙創造の最高神です。仏教に取り込まれ、天部の最高神となりました。悟りをひらいたお釈迦さまに、ひとびとに説法しなさい、と促しました。 |
|---|---|
| たいしゃくてん 帝釈天 |
ヒンズー教の神さまです。仏教では、梵天と同格に扱われる、天部の最高神です。 |
| してんのう 四天王 |
東西南北を護るインドの神さまでした。仏教では、帝釈天の部下として、仏教世界の中心である須弥山(しゅみせん)の4つの門を護っています。東を持国天(じこくてん)、南を増長天(ぞうちょうてん)、西を広目天(こうもくてん)、北を多聞天(たもんてん)といいます。 |
| びしゃもんてん 毘沙門天 |
四天王のひとり多聞天です。武神として多くの信仰を集めてきました。上杉謙信が「毘」の字を掲げていたのは有名です。 |
| きっしょうてん 吉祥天 |
美と福徳の女神さまです。毘沙門天の妻とされています。 |
| べんざいてん 弁財天 |
水の女神さまです。はじめ「弁才天」と書きましたが、後に「財」の字が用いられ、金運の女神さまとしても信仰を集めました。 |
如来とは?如来の特徴
「如来」とは、サンスクリット語の「真理から来るもの、真理へと去っていくもの」という意味を漢訳したものです。つまり、「仏像」の「如来」像は、悟りをひらいたお釈迦さまのお姿をあらわしているということです。お釈迦さまは、本名をゴータマ・シッタールタといい、いまから、ざっと2500年前のインドとネパールの国境あたりで誕生しました。釈迦国の王子さまとして何不自由ない生活を送っていましたが、後継者としての王子を儲けたこともあり、29歳のときに思い立って出家しました。多くの苦行の末、35歳のときに悟りを開き、80歳で亡くなるまで、たくさんの教えを弟子に伝えました。
「如来」像を見分ける特徴は、大きくわけて3点あります。
- 手には何も持っていない(薬師如来を除く)
- 法衣のみで、装飾品は身につけていない(大日如来を除く)
- 小さくカールした独特の(パーマのような)髪型(羅髪/らほつ)
他にも、「如来」の超人的な力を示すとされる三十二相(さんじゅうにそう)や八十種好(はちじゅうしゅこう)や、それぞれのポーズに意味のある印相(いんそう)という両手のゼスチャーなどもあります。



